むらさきしきぶ

紫式部

Murasaki Shikibu

茶を帯び、落ち着いた藤紫の花色は、控えめながらも気品を湛える。小ぶりながらも端正な花形は、慎ましやかでありながら、どこか凛とした強さを秘めている。その佇まいは、まるで宮廷の奥に佇む才媛のよう。華美に飾ることなく、それでいて、ひとたび目を向ければ、奥ゆかしさとたおやかさに心を奪われる。香りは淡く、そっと身を寄せた者だけが感じ取れる秘めやかな余韻。その姿は、時に寂しさを帯びながらも、慎ましく、それでいて凛と咲き続ける。

【花】
茶色を基調とした渋みのある藤色。丸弁八重咲きから宝珠弁咲き、小中輪の房咲き。ティの微香。個性的でありながら、どこか風流な和の趣を感じさせる。奥ゆかしい美しさ。

【栽培】
四季咲き性。樹勢は普通で、耐病性が非常に強い木立樹形のバラ。うどんこ病には標準的な耐性を持つが、黒星病には特に強い。フロリバンダとして育てるのに適している。地植え・鉢植えのどちらにも適し、扱いやすい。夏剪定は通常のタイミングで行い、関東以西の暖地では9月中旬が適期。樹高はやや低めで、庭植えの場合は花壇の前方から半ばに配置するとバランスが良い。トゲの量は標準的。シュート更新は不要。

タイプ0
無農薬でも、株の上部にはほとんど病気が発生しない、優れた耐病性を持つバラ。庭木や草花と同じように、害虫が発生した際にのみ殺虫剤を散布するか、捕殺するだけで育てられる。剪定のたびに殺菌剤を散布すれば、一年を通して美しい葉を維持しやすい。散布のタイミングは、冬剪定後の芽が膨らみ始めた時、1番花開花後、2番花開花後、夏剪定後、秋花が咲いた後の剪定後の計5回。剪定後は株が小さくなるため、作業量やコストの負担を軽減できる。細かなことを気にしなければ無農薬で十分に育てられる、これまでのバラの常識を超えた品種。

【命名由来】
平安時代、『源氏物語』を書き上げた紫式部。彼女の紡いだ物語は、千年の時を超えてなお語り継がれる。宮廷という閉ざされた世界の中で、時に寂しさを感じながらも、知性と感性を研ぎ澄ませ、自らの道を歩み続けた彼女の姿。慎ましくも気品あるこのバラの佇まいもまた、紫式部の生きた軌跡と響き合う。その想いを込めて、「紫式部」と名付けた。
品種名 紫式部
Name Murasaki Shikibu
ブランド ロサオリエンティス プログレッシオ
系統 F フロリバンダローズ 作出年 2025
出生地 日本 作出者 木村卓功
交配 不明もしくは未発表

タイプ タイプ0 開花性 四季咲き

花色 紫系 紫ピンク 花の特性
花形 ソフトエレガント系 丸弁八重咲き 花茎 小中輪
芳香 微香 香質 ティ

樹形 木立樹形 普通タイプ 樹高・伸長 60~90cm

樹勢 普通 うどんこ病 普通
黒星病 とても強い 耐陰性 普通
耐寒性 普通 耐暑性 とても強い

特性 おすすめ 初心者向き タイプ1以上 花持ちが良い 著名人に捧げられた
鉢植え向き 地植え向き

※育てる環境や個体差による違いもありますので、ひとつの目安としてご参考ください。